12月28日
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夜半より雨がひどくなる。こりゃ、ほんとに雨だ。Bajaの案内など読む。と、冬は暖かいが雨も多いとのこと。
朝7時半起床。沖の島々は雨に煙ってまったく見えない。久々の雨中撤収となる。テントに砂がついて気持ちが悪い。
しかし、これが野宿というものだ。この歳でやっていていいかは別だが。出発。となりのバスに手を振る。
見ているのかは分からない。
ひたすら走る。「VADO A 300m」と標識のあるウォッシュが道を横切るところが、水が流れて本当にウォッシュになっている。
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ついにガス欠
R1の分岐のGSはやはり閉鎖されていた。ポンプも無い。ここから100マイル。タンクの中を見るが心もとない。
60KmHでひたすらエコラン。何とかさらに1時間走って、昨日昼飯を食べたレストランに辿り着く。タンクを見ると、
もうガスはほとんど無い。自家用車から2〜3リッター分けてもらおうとするが、言葉は通じないし、店のおばさん
は冷たいし、たまたまトラックが止まったので、彼らに牽引してもらおうとする。しかし、彼らも英語が通じない。
限られたスペイン語と身振り手振りで頑張るが、結局ロープがなくてダメ。ここから10キロ行った人家で1ガロン
くらい分けてもらえるとの言葉を頼りに走り出す。10キロ走るが人家などなくとうとうガス欠。少しバイクを押して歩く。
登りになり、もう助けを求めるしかない。車が一台通過。メキシコナンバー。無視された。こんどはカリフォルニアナンバー
のキャンピングカー。屋根の上に赤いポリタンが積んであるのが見える。
親切なアメリカ人夫婦だった。なんなくガスを分けてくれる。息子さんが大阪に住んだことがあるそうだ。お礼を言う。
まったく有り難い。こうすれば何とかなるという気はしていたが、やはり親切は有り難い。写真撮って別れる。
最南端までゆくそうだ。
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Catavinaまでは、サポテンが生えている例のBajaの風景。時々日も差してくる。カッパを脱ぐ。
スタートしようとして立ちゴケのおまけまで付き、また通りがかりの車に助けられる。
何やってんだ、俺は!
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またまたサボテン風景。ひょろ長くて、先端に花が咲いているのがある。
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El Rosarioのあたり。川が増水している。San Quintinまであと20マイル。
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ようやく太平洋にでる。左手に海、右手は丘。道路沿いに電柱が立っている。道北のサロベツあたりのような風景。。
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3時を回った。酒屋でビールを買う。地元の人が話しかけてくる。Koreanoかときくので、Japonesだと答える。
なんか言っているが、さっぱり分からん。身振りからして日本人は親友だということかな、と勝手に解釈。
「On the beach RV Park」と看板があったので左折、3マイルとのこと。この3マイルが悲惨。すごい泥道。
フロントはとられるし、水はかぶるし、バイクは泥だらけ。
やっと辿り着く。テントは水びたしで無残。バイクも無残。夕日は雲でダメ。また少し曇ってきた。
雨でも降ったら最悪だが、まあ、それはないでしょう。
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(走行:232マイル)
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12月29日
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朝早く、発電機のエンジンの音に起こされる。せっかくの静かな入り江の朝なのに。
San Quintinの街は水溜まりが道路脇のダートのあちこちにあり、雑然としている。
レストランで朝食。スペイン語での注文も板についてきた。
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太平洋を離れて、山間部に入ってゆく。変化に富んだルート。
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El Coyote方面へ。今までは車のたくさん通った跡のある広い道だったが、次第に狭くなり、車の轍も無くなる。
だんだん心細くなってくる。割と新しい轍があるのに気づく。バイク2台のようだ。少し気が楽になる。
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ガレ場となる。何とか頑張っていたが、フロントをステアケースに乗り上げ、バランスを崩してとうとう転倒。
あせらず、少し休んで呼吸を整える。もう少しで頂上のようだ。
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登り切った。もうすぐ地図上の目標、「Mike's Sky Ranch」かなと思っているととんでもない。また急に下りだす。下りもガレ場。
しかし、バイク2台のタイヤの跡はまだ続いている。せめてもの救いだ。
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森の中を抜け、砂地を走り、川を渡り、またガレ場の急な下り。腕があがってくる。簡単にバランスを崩す。
やっと尾根の向こうに建物がみえ、下りきって到着。休憩室には、バイク、4駆、バギーの写真、ステッカーだらけ。
名刺が壁にぎっしり貼ってある。後でフランソワに聞いたのだが、「Mike's Sky Ranch」はこの辺のダートを走りに来る連中の
中心地なのだそうだ。Motelのようになっていて、プールもある。
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CR、XR600、KTM350が止まっている。ライダーは見当たらない。このおじさん独りのようだ。コーラを飲みながら、おじさんに道をきく。
おじさん英語ダメなので、私の拙いスペイン語。まったく語彙が足りない。とにかくルートだけ確認する。
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ちょっと行くと大川渡り。幅十数メートルか。深そう。雨で増水しているのだ。しばらく戸惑う。
ここで倒れでもして、バイクが水没したら・・・
歩いて入ってみる。すぐブーツぐらいの深さ。ブーツに浸水。冷たい。石を投げてみる。小さすぎてよく分からない。
覚悟を決めて、いっきに入る。エンジンが水に浸かるくらい。なんとか渡れてほっとする。
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R3に出るまでのダートは、「Mike's Sky Ranch」へのアクセス路であるから、車も通れる路面なのだ。
砂地で、雨上がりで、グリップもよい。ストレートは60MPHぐらいでかっ飛ぶ。ただ、掘れた段差には注意。
結構距離があり、なかなかR3に出ない。途中、XR等4台とすれ違った。荷物はなし。
「Mike's Sky Ranch」の客だろう。何となく日本人のような雰囲気もしたが?
長い下りの直線が終わると、やっとR3。もう3時。
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食料も水もないのでキャンプは諦め、R3を110キロひたすら走ってEnsenadaに行く。ワインディング、はるかな直線と、
R3も飽きさせない。Ensenadaは大きな街だ。周囲の谷の斜面には貧しいスラムのような小屋がびっしり貼り付いていた。
谷を下りきると市街地。車も多く賑やか。運転も荒い。海岸近くのホテル街に行く。身なりを考えて立派なホテルは避け、
$39、カードOKのMotelをやっと見つけた。
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(走行:197マイル)
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12月30日
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Motelのコーヒー飲んで出発。R1を北へ。太平洋をみながらしばらく走る。
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El SanzalよりR3へ。山を登ってゆく。次第に緑の多い風景。山、谷、登っては下り、10時過ぎにTecateに着く。
メキシコでは名の知れた、Tecate Cervesa (Beer)の工場がある。Tecateは国境沿いのそれなりの街だ。
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国境近くのツーリストインフォで聞いて、Tシャツ屋に行く。Bajaを記念するようなのは売ってない。
カードはダメ。有り金全部で$7では何も買えない。店の女の子がスペイン語でいろいろ話かけてくる。
日本人で、バイクで旅してると話すと結構めずらしがってくれる。彼女が英語をほとんど話せないので、
これが唯一できたコミュニケーションだった。Erika Patriciaという名で18歳。こちらは、31歳とはついつい
言いづらくて、29歳などとサバ読んでしまった。写真を送ってやる約束をする。
Tシャツはそれから国境に戻る途中の店で買えた。
・・・・彼女はそれから数ヶ月経ってNYにTシャツを送ってくれた。英語訳は高校の先生に頼んだらしい。
私は英語・スペイン語翻訳ソフトを駆使してしばらく文通したが、それっきりになってしまった。
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国境を越えると12時過ぎ。無事、アメリカに戻ってきた。道も、家並みも、整然としている。やはりここは
アメリカだ。例のインターステートI−8でEl Centroへ。山を下ってゆくと視界が大きく開けて砂漠になる。
ほぼ360度ひらけて雄大。El Centroで食料その他調達しI−8を西へ、Dunaway Rdで南へ。すぐダートとなる。
砂漠の中の平坦な道。適当な処でテントを張る。少し前、銃声がきこえた。大丈夫だろうか?音と逆方向に走ったが。
濡れたテントも、今夜は砂漠で乾くだろう。
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(走行:188マイル)
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12月31日
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日の出後起床。テントは夜露でぐっしょり。フライをはずして干す。寝袋も干す。遠くでモトクロッサーの音。
また銃声がする。スピードメータが動かないのを修理する。テントも寝袋も乾いたが、出発は12時前になってしまった。
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R98を西へ。ダートのAnza Trailはジャンプがかなりあるが、荷物で身動きが取れない。I−8の下をくぐってOcotilloの街。
ここで買い物。S2を北西に走るとBadland Overlookがある。侵食された山の風景。
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S2をまた北西へ。もう3時近い。行き止まりのJune Washに入ってキャンプ。Vallecito Mtnsなどが夕陽に映えて美しい。
ビールを飲んでいると日没。ウサギがひょこひょこ走っていった。
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(走行:65マイル)
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