南カリフォルニア・Baja 砂漠ツーリング

  Previous page 3 of 5 Next page


12月25日

日の出前に起床。昨夜はいろいろなことがあった。さすがに水辺だけあって生息している動物も多いらしく、 いろいろな物音がする。カサコソとゴミ袋を漁るような音。コヨーテの遠吠え。一匹、もう一匹が呼応する。 静かになる。ウトウトしていたら、突然、すぐ近くで数匹がいっせいに。ほとんど飛び上がりそうになった。 その他、おそらく鳥の声。一定周期で鳴いて、その周期がだんだん短くなり、一声鳴いて、そして鳴き止む。 またカサコソ音。意を決して懐中電灯をつけてみると、なんと数センチの野ねずみであった。ウトウトしかけると、 またやって来る。聴覚が過敏になり、自分の息の音までなにかの動物の物音にきこえる始末であった。


今朝はコーヒーが沸かせる。やはり朝のコーヒーはよい。たとえインスタントでも。昨日撮る時間のなかった写真 をとる。今朝も対岸でコヨーテの遠吠えがきこえる。よく見ると、川の浅瀬をコヨーテが歩いている。大小の水鳥が いる。ペリカンのようなのが目の前を飛んでゆく。地図をみると、ここはNational Wildlife Refugeであった。


やがて、川向こうの岩から日が昇ってくる。コーヒーをもう一杯沸かす。固形燃料ストーブもなかなかよい。 火力は弱いが、のんびり待つのもまたよい。




9時過ぎ出発。すっかりのんびりしてしまった。風が吹く。荒涼とした風景。昨日まで快晴だったが、今日は 薄曇り。そのせいか少し寂しい。ウォッシュから荒れた山道を登り切るとIndian Pass。背後には雄大なの山々。 ジープ一台とすれ違った。


ついにBajaカリフォルニア、メキシコに入国

Indian Passから、整備されたダートを走ってYumaに戻ってきた。クリスマスなので、店は大半休み。街は閑散としている。 AAAも休み。Bajaの地図が手に入らない。Yumaを出ると、もう1時半過ぎ。R95を南下。いよいよBaja Californiaに入るので 少し緊張する。なかなか国境は現れない。Somertonを過ぎ、San Luisでいきなり国境。保険屋など見当たらない。保険なしで メキシコ入国。
 これは別に違法ではないが、メキシコで万が一事故を起こした場合、保険がないと賠償能力が証明されるまでは投獄されて しまうそうなのである。
メキシコに入ると、ガラッと雰囲気が変わる。国境の街の喧騒、独特のにおい。地図どおりに進もうとするが、なかなか道が 分からない。ミスコース数回。地図をみていると、通りがかりの車の少年達が教えてくれた。
国境の街、San Luisにて。


San Felipeをめざすが、またミスコース数回。R5に出る頃には、すでに日没近くなってしまった。 ここからSan Felipeまで150Kmもある。(メキシコはキロ表示だ。)とにかく走る。R5はLaguna(塩湖) の中を走るまっすぐな道である。右手にSierra De Juarezの岩山。左手は塩湖の平地。道はひたすら 延びている。人家ひとつない。日が落ちる。夕景の中をひたすら60〜70MPHで走る。夕闇の広大な風景。 本当に美しい。言葉では表せない。ヘルメットの風切り音がきこえるのみ。それにしても長い直線。 思い出したようにカーブ。曲がるとまた直線。これが10数キロ続く。暮れゆく風景を満喫する。細い三日月が出る。 ウォッシュを横切るとき、道が一瞬沈んで、またもとに戻る。対向車のヘッドライトが一瞬消えて、瞬く。 とうとう完全に日が暮れた。San Felipe 60Kmのサイン。頭が空っぽになる。時間が分からなくなる。30Kmのサイン、 あと15分程か。人家の灯りが徐々に増えてくる。やっとSan Felipeの街。大きな門が照明に白く浮かび上がっている。
 街はクリスマスで賑やかだ。中心部に入ってMotelを探す。一泊$36で、まあまあか。5日めにしてシャワーを浴びる。 快感。ビールでほろ酔い。バイクを部屋に入れ、これで安心。街を歩く。女の子たちはやはりかわいい。スタンドで 茹でたトウモロコシを買う。店番の子はすごくかわいかった。アジア人がめずらしいのか、ちらちら横目で見ながら 話している。スペイン語が話せなくて残念。

(走行:236マイル)


12月26日

昨日の宿、San FelipeのMotel。こういうのが平気で公道走ってるのもメキシコならでは。

San Felipeの海岸沿いの観光地。屋台でタコとブリートを食べる。土産物屋のオネーチャンも綺麗だった。 そのあと、レストランで昼飯に食べた「フィッシュスープ」も赤色したスパイス味でブイヤベースのようで、 うまかった。


私が漠然と考えていたBajaの風景のようなので、取り敢えず一枚。

Puertecitos。津軽の寒村のような風景。地の果てを思わせる。ダートは誰かんちの裏庭にでも行くような雰囲気で心細い。 通りがかりのトラックのおじさんに聞くと、これでよいとのこと。「でも、この先、なんにもないよ。」とのことだった。

コルテス海沿いのダート。一月前に開催されたBaja1000のコースの一部だったそうで、路面に洗濯板ギャップが多く走りにくい。 この写真を撮っていると、通りかかった乗用車がオイルパンを打つ音がきこえた。

雄大な風景。でも見惚れて走っていると、前輪をギャップに取られて大変。50〜60MPH出ているので、衝撃は相当なものだ。

山間部をぬけ平野にでる。ようやくダートも少しは走りやすくなる。しかし、注意しないと石にフロントを取られる。 高速走行なのでショックも大きい。フロントサスがボトム寸前になる。Bahia San Luis Gonzagaまで 30マイルの看板。日は落ちかけているが頑張って行くことにする。平原のなか、ひたすら続くダートの直線、広大な視界。 BMWの2人乗りを追い越す。R100だろうか。荷物満載、ノーヘル、白人のカップルだった。よくやるなあ〜。

Bahia San Luis Gonzagaでキャンプ。すぐ近くにHotelがあり、一泊$10なのだが、やはり私はテントが落ち着く。 あっという間に日没。夕日に輝いていた海が光を失った。しかし、日没後の風景もよい。透明な青。海と、近くの島と、 遠くの連山と。砂浜、西にはシルエットになった山々。広がる荒野。360度、なんと美しい風景だろう。
 暗くなるまで、じっと景色をながめる。今までに見たことのない美しさだった。本当に来てよかった。 地球上にはまだまだ知らないところがあるのだ。オーストラリアとも、アフリカともちがう。


(走行:111マイル)


12月27日

朝起きるとあいにくの曇り空。昨日のあの美しい風景は見えない。Hotel(とはいっても、民宿みたいなもんだが)に 寄って昨日買ったビールの壜を返す。アジア人ふたりがいる。カリフォルニアナンバーのワゴン車。日本人のように も見えたが違った。近くの浜でアサリが山のように採れたといっていた。Hotelで料理してもらうのだという。

Hotelで聞いたCoCo's Cornerの分岐。天気が悪くて少し憂鬱。R1までは荒野の中の道、人家などまったく無い。




R1に出たところにレストランがあった。現地人向けの素朴な処だ。英語もまったく通じない。 一年前にかじったスペイン語で頑張る。ブリートは挽肉を炒めたのをトルティアに包んだだけだがうまい。
R1を南下。またサボテンの風景なのですかさず写真。

R1をそれてBahia de Los Angelesに向かう。ポツポツと雨が降る。


Bahia de Los Angelesは小さな街だった。食料、アルコールを調達して、3Km離れたRVパークに行く。 「Camping On the Beach」のサインに従って浜に出る。小雨の中テントを張る。買い忘れを思い出してまた街に行く。 帰ってくると雨は止んで少し明るくなる。もう4時。突然、白人のおねえさん(おばさんかも?)が来る。 ガソリンスタンドの話。来る時に見たR1の分岐のGSは税金を払わなかったとかで閉鎖とのこと。この街のGSは ガス欠とのこと。GSがガス欠!XT600はSan Felipeからまったくガスを入れていない。ここから一番近いCatavinaのGS まで100マイルもある。ということで、少しガスを分けてもらう。すぐ隣のスクールバス改造キャンパーと、 VWビートル改のオフロード。7月からここにずーっと居るそうだ。変わってるねー。ひとのことは言えないが。 礼を言ってテントに戻る。この少々のガスが明日役に立つかもしれない。夕暮れになって風が出始める。 空は相変わらず曇りで、晴れる気配はない。

(走行:122マイル)

  Previous page 3 of 5 Next page



メインに戻る








JAlbum 5.1