北海道林道ツーリング

1985年6月1日〜6月12日

6月1日

京都―敦賀
走行?Km
夜七時前、京都出発。直前まで準備、あわただしい一日。R367は夜中で心細い。MTX200Rはナナハンと 較べて安定感もないし。十一時出航。バイクは十台ぐらい。

6月2日

終日フェリー
走行0Km
寝てばかりいる。外は晴。

6月3日

曇り 時々小雨 のち晴
小樽―札幌―夕張―穂別―幾寅―屈足―トムラウシ
走行360Km
三時半起床、五時半下船。どんより雲って肌寒い。時折小雨がぱらつく。札幌までR5。 札幌からR274で東にむかう。ひたすら真っ直ぐな道、新緑が美しい。 穂別から富内までは舗装、それからダートイン。フラットな、それでいて、洗濯板ギャップの道。 舗装路以上でとばし、占冠にむかう。R237をちょっと走って、トマムへむかって右折、これも 舗装路。下トマムあたりで幾寅へのダートをみつける。さっきよりコーナーの多い、林道らしい峠越え。 相変わらず乾いていて、砂煙で路面が見にくいが気持ちよく走れた。
幾寅でR38、狩勝峠を越える。天気がよく、十勝平野が見渡せる。峠を下り屈足へ。トムラウシの 入り口岩松湖あたりで野宿しようとするが適当な場所がない。四時になったのでトムラウシ温泉まで 行く。舗装を30キロくらい走ってダート。フラットで乾いている。五時温泉着、国民宿舎のすぐ近くに テントを張る。温泉で埃を落とす。アルカリ性でぬるぬる。風呂上りにビール。外はだいぶ寒い。

R274、夕張

夕張→占冠へのダート

トマム→幾寅への峠越え

狩勝峠

トムラウシ温泉キャンプ場

6月4日

晴 のち雨 のち晴
トムラウシ―足寄―稲牛―螺湾―オンネトー
走行141Km
六時起床。外は快晴。空の青さが目にしみる。日差しが強く、暑いくらい。新緑が風にゆれて心地よい。 七時過、空荷で、奥の林道を走りに行く。新緑の林の中、昨日より埃も少ない。アップダウン、コーナー、 本州の林道のようで飽きない。分け入るにつれて大雪の山々が残雪の姿を大きくみせてくる。予定の周回 コースは通行止めで一周できない。それでも枝道が多くあり、とても全部は走りきれなかった。
温泉に戻ってテントをたたみ、出発。トムラウシでガスを入れ、荷物を預ってもらって南の林道を走る。 しかし天候があやしくなり、ヌプン峠への林道は途中で崩れていて行止り。熊の糞はあるし、獣の臭いはするし、 怖くなって急いで駆け下る。
気を取り直してもう一本の林道にアタック。だが、雨が降り出した。暗い林の中、それでも川沿いのストレートの 多い道を60〜70Km/hでとばす。止まっても熊のことが気になり落ち着かない。かなり走って、林道工事の車が いたのでUターン。曙橋に戻ると本格的な雨。荷物を預けた農協まで戻る間に濡れてしまった。
昼飯を食べていると雨は止んだが、出発するころにまた降出す。十勝ダムまでは雨。屈足に戻る頃には日が出る。 足寄まで舗装。R241ではツーリングバイクに出会う。足寄で買出し、稲牛の町道のダート、R241、螺湾から オンネトーへのダートと行く。オンネトーに近づくにつれて雨上がりの絶好のコンディションとなる。
五時、オンネトー着。団体が居るがそれほど多くなさそうなので、ここでキャンプ。

キャンプ場の朝

出発前の記念写真

トムラウシの林道

展望台にて大雪連山を背景に

青空と白樺の緑

林道より大雪山系

富村牛にあった林道のポスター

雨上がりのダート、螺湾(ラワン)→オンネトー

オンネトー野営場

6月5日

雨 のち晴 のち曇
オンネトー―ペンケトウ・パンケトウ―津別峠―和琴半島
走行162Km
六時、目覚めると雨。ゆうべは寒かった、少し喉が痛い。七時頃まで寝て待つが、雨は止まない。 ゆっくり起きだして、テントの中で雑炊。食後コーヒー飲んでいると雨が止み明るくなる。 晴れ間がのぞくと湖は美しく輝く。静かに川が流れ込んでいる、倒木が沈んでいる。風が渡る。
十時出発。昨年GN400改で悪戦苦闘した砂利道は舗装されていた。R241で阿寒へ。 釧北峠への分岐でそのまま真っ直ぐダートイン。ちょっと走るとパンケトウ林道。路面はフラット、土質は なかなかよい。原生林の中を例によって60Km/hプラスで駆け抜ける。天気も徐々によくなる。しばらく 走ると、立ち枯れの木々と蛇行した川。本州にはない景色だ。抜けると川沿いの道、奥入瀬のような感じ。 林道関係の人とも数回出会う。頭を下げるとむこうも挨拶してくれた。パンケトウでバイクを下り、湖岸に立つ。 木々に囲まれ裏摩周から下りた摩周湖のような感じ。さらに奥へ、三の沢という方へ下りてゆく。高台、湖が 見下ろせる。ペンケトウではないようだ。ここでUターン。帰りは路面にも慣れ、天気もよく快調。時々直線では 80Km/hくらい出る。コーナーはブラインドではゆっくり走る。まさに北海道らしい。タイトコーナーのまったくない 快速な林道だった。
釧北峠も国道を通らず林道で越える。ここは砂利が多かった。R240で津別へ。Aコープで昼食と、夕飯の買出し。 津別峠は舗装から砂利道、そして峠道。キタキツネを見る。峠の上りはタイトで面白いが、洗濯板ギャップがネック。 展望台からの景色は、なるほど美幌峠とは一味違った。その美幌峠も見えた。和琴側の下りは洗濯板ギャップが余計に ひどく、マッサージのようだった。三度めの和琴半島キャンプ場に着く。刺し身で夕食。

オンネトー湖

倒木が沈んでいる

湖畔にて出発前

パンケトウ林道 路面はフラット、土質はなかなかよい

原生林の中から視界が開けてくる

パンケトウの手前、阿寒湖に流れ込む川

パンケトウ湖畔 摩周湖畔のような雰囲気

山中よりペンケトウ(?)を望む

緑の美しい林道

相生線は廃線となっていた

津別峠より屈斜路湖

和琴半島キャンプ場

6月6日

曇 時々晴
和琴半島―弟子屈―オソツベツ―標茶―シラルトロ湖⇔岩保木山
走行214Km
五時半起床。荷物を置いて津別峠へ登る。ギャップのきつい道を久々の全開走行。陽がさし、遠く雲海のかなたに カムイヌプリや、斜里岳、雄阿寒岳などが見渡せ気持ちがよい。和琴に戻り荷物を積んで弟子屈へ。道道を南下し 標茶方面へ左折。ダートがなかなか現れないのにしびれをきらせて、左手の山肌に見えているダートに適当に左折。 牧場の砂利道を過ぎると遊休地の中の黒土のダート。モトクロスコースのよう。背後には緑の牧草地。荷物を下ろして 全開走行。道は果てしなく続いているようにみえたが、すぐ終わってしまった。
道道に戻って標茶へ。R391を南下してシラルトロ湖。二時と少し早いがここでキャンプ。温泉もあるし。 しかし、ついつい馴染の場所にキャンプするので新しい場所が開拓できない。空荷で岩保木山に登る。去年GN400で 来て、走りたいと思ったダートだ。線路沿いから右折を一本間違えて細岡へぬける林道を走ってしまった。路面はかたく、 石も多いがバンクがあり、ブラインドも多いが60〜70Km/Hで走ってしまった。豪快なコースだった。細岡駅で引き返す。 今度は去年、見覚えのある砂地の登りですぐに山上へ。
湿原を見下ろす写真。やはり牛がいる。山を下りて湿原の中へ。もちろん湿地には入れない。ここも去年と同じコース。 遠矢の駅前で夕食の買出し。向かい風の中をシラルトロ湖まで戻ってきて夕食。日が落ちるとやはり寒い。温泉が 楽しみ。

朝の津別峠

雲の彼方、カムイヌプリがみえる

峠より、雄阿寒岳

オソツベツのダート

ダートは遊休地や牧草地の中を走る

牧草地の中、モトクロスコースのよう

シラルトロ湖野営場、早々にテントを張る

岩保木山より、釧路湿原

釧路湿原の水門がみえる

6月7日

曇 後 時々晴
シラルトロ湖―塘路湖―阿歴内―茶安別―トライベツ―春別―ウトロ
走行274Km
六時半起床、八時出発。塘路湖南岸の道道を東へ。R391からR272へとぬける。 昨日と同じく薄曇りで非常に寒い。トライベツ林道の入り口でちょっと迷う。集落の中を抜けて林道へ。 原野と森林の中のダートをひたすら走る。路面は石が多く、所々砕石をひいたばかりの部分もあり、あまり よくない。枝道もたくさんあり、まさに林道の宝庫。40〜50キロ走って、蛇行するトライベツ川に 沿ってしばらく進む。後半は土が出ていてフラットな路面。フッポウシ川をこえて山を登ると春別へのダートに 出る。この先は自衛隊演習場だ。国境道というのを行くが何やらジープやトラック、兵士があちこちにいる。 なんとなくイヤな雰囲気。思ったとおり演習中であった。ジープに先導されて国道まで。おかげで土埃がひどい。 住所・氏名を書かされて放免。それほど怒っているようではなかった。
R272に戻って標津まで行く。また寒くなってくる。標津で久々の海、小樽以来である。沖に浮かぶ島は北方領土で あった。知床半島の雪の山々も見える。鉛色のオホーツク海も冬のよう。
知床峠が通行止なのでR244で根北峠。斜里岳を左に見ながら緑の中を抜ける。たくさんの林道。斜里に近づくと 晴れ間も。R334でウトロへ。野営場は開設準備中で水が出ない。一年前と様子も変わってしまった。夕日も見られない。 残念。

トライベツ林道

路面は石が多くあまり良くない

標津より、国後島

ウトロ野営場、曇っていて夕日はみえなかった

6月8日

晴 後 曇
宇登呂―カムイワッカ―知床峠―斜里―網走―女満別
走行274Km
六時起床。昨日の魚貝鍋の残りに飯を入れて雑炊。八時、荷物を置いて知床林道へ。五湖に行くと 観光バスが数台。二湖以降は団体のコースではないようで、静かになる。雪の知床の連山が湖面に映っている。 ミツガシワ、ネムロコウホネなどの水生植物が繁茂している。
林道は砂利が多くて去年より走りにくい。カムイワッカで岩風呂に入る。念願の写真。林道を戻って知床峠へ。 羅臼岳は山頂に雲。峠から羅臼へは通行止め。残雪がいたるところにある。
三時に宇登呂野営場を出発。R244で網走へ。浜小清水の原生花園は例によって草ばかり。一面の花景色など 期待する方が悪いのだろうか。それでも、道を挟んだトウフツ湖岸では黄色の花が咲いていた。
網走で買い物。予定の能取岬キャンプ場は水がないとのことで、網走湖に変更。水を求めてR39を女満別まで。 苦労して湖畔にたどり着く。予報では明日は雨らしい。

知床五湖 第二湖より、知床連峰

第三湖より、知床連峰

ミツガシワの群落

知床林道

林道終点、知床大橋

念願のカムイワッカの滝の入浴写真

知床峠よりラウス岳

知床峠より国後島

女満別、網走湖の野営場

6月9日

曇 後晴 後曇時々雨 
女満別―能取岬―網走―キムアネップ崎⇔ワッカ
走行203Km
五時半起床。網走湖では漁船が漁している。八時出発。目の上を虫に刺された田中のため、網走で病院に行く。 二見ヶ岡から能取岬へ。途中、三年ぶりで能取漁港に行く。能取湖東岸の道道はまだダートのままだった。原生林の 中を抜ける道、路面はあまり良くないが好きな道だ。湖岸に出る。遠浅で沖で立って漁をしている。茫々とした風景。 海に出ると海岸では釣りをしている。岬の灯台、そこまでの延々のダート。
再びR238、一時にキムアネップ崎に着く。サロマ湖に突き出た平坦な岬だ。キャンプ場のまわりは原生花園、黄色い 花が咲き、鳥も鳴く。テントを張って、幌岩山へ。去年は晴れて水も青かったが、今日は曇り、小雨もぱらつく。しかし 雄大な景色、遠く知床連峰も見える。
山を下りて、いよいよワッカへ。砂洲の先端をめざす。第二湖口から先はダート。モトクロスコースのような道を 豪快にとばす。先端付近は一面の砂浜。オーバーヒートしてブリーザーから蒸気を噴く。根性で先端まで。対岸に竜宮台の 灯台。
引き返して五時に常呂着。食堂でジンギスカンを食べる。快活なおばさんだった。栄浦は変わろうとしていた。九月に皇太子が 来るそうで、大きなホテルが建ち、リゾート地になろうとしていた。

3年ぶりの能取漁港

能取湖岸

能取岬へのダート

幌岩山展望台よりキムアネップ崎

サロマ湖第一湖口、対岸、竜宮台がみえる

空荷でダートで遊ぶ

6月10日

曇 後晴 後曇時々雨
キムアネップ崎―北見―チミケップ湖―留辺蕊―丸瀬布―濁川
走行276Km
九時出発。浜佐呂間でガスを入れて北見へぬける道道へ。道道といってもほとんど林道、枝道もたくさん。 北見は大きい街だ。国道からの印象とはだいぶ違う。街を出ると雨、手が冷たい。
訓子府で左折。チミケップ湖のダートの路面は硬く、洗濯板ギャップもきつく、寒くていまいち。寂しい山越えの 道を走り、湖畔に一軒だけの食堂兼旅館で昼食。冷え切った体をストーブであたためる。名物の鯉こくはうまかった。
訓子府に戻って留辺蕊からR39へ。丸瀬布へぬける林道を走る。直線の多い前半から、タイトコーナーのある峠越え。 峠のむこうはまた直線の下り。70〜80Km/hでひたすらとばす。雨上がりで路面はいいし、チミケップの憂鬱が吹き飛んだ。 丸瀬布温泉は思いがけず満員。滝上の宿をめざし、林道もう一本。ここも路面は最高。両側の木立が流れてゆく。ギャップに 自然に体が反応し、重い荷物の存在も忘れる。上立牛からまた山越え。火山灰、砂利、砂地と2輪ドリフトの連続。
下立牛でミスコースしてもう六時、旅館に着くはずの時間だ。滝上から直線のダート、ついに90Km/hを記録。 時々コーナーもあり田中が大カウンター、コケたかと思ったが無事でホッとする。
七時過ぎ、予備タンで、やっとの思いで栄旅館着。汚い格好に宿のおばさんも呆れている。まず風呂、そしてビール。 いい一日だった。久々に布団で寝られる。

チミケップ湖畔

塩別→丸瀬布の上武利林道、ストレートが多い

丸瀬布→滝上の上立牛林道

雨上がりで路面は最高、重い荷物も気にならない

周辺の林道地図

6月11日

曇 後晴 後曇時々雨
丸瀬布―西興部―朱鞠内―小平
走行282Km
九時半出発。西興部へ抜ける道道は舗装。ダート走って氷のトンネルに行くが、七月〜八月でないとダメとのこと。 サンル川沿いの道も期待はずれ、仁宇布(ニウプ)まで、舗装のひろい道となっていた。仁宇布は美幸線の終端駅、 本来なら北見枝幸まで繋がるはずなのだが、廃止にさえなりかねない。列車、一日四本。駅前には家もほとんどない。 広くて新しい道だけが延びている。高原で白樺の木々が風にゆれている。ここまでダートはほとんどなし。昨日とは 大違いだ。
美深からR275で朱鞠内湖へ。三年前とダートは変わっていない。母子里から北周りの道ができているくらい。 ダートだが、玉砂利ばかりで手が痛くなる。添牛内からR239、霧立峠は雨。小平へぬける道道も玉砂利の道。 もうすぐ舗装されるのだろう。
六時、やっと小平キャンプ場着。ユースへ風呂を借りに行って不愉快な思いをする。汚い格好しているのだから無理は ないのだが、宿泊客全員が入ってからでないとダメなそうな。しかたなくビール飲んで寝る。

小平、望洋台野営場

6月12日


小平―留萌―雄冬―小樽
走行282Km
七時起床。テントがポカポカ暖かい。外を見ると久々に晴れて青空。海も美しい。九時に留萌でパンと牛乳を買って、 黄金岬へ。住宅地の近くのちょっとした海岸線。「日本一の落陽」とある。雄冬を過ぎ、浜益村のあたりまでの様子は 去年とほとんど変わっていない。相変わらずダートはダート。石狩で昼食をたべ、二時過ぎ小樽着。市内を見物する。 北一ガラスはよい。ランプ、グラス、ボトルを買う。一時間ほどいたがまったく飽きない。
小樽の街並はやはり古いが函館のように観光地然としていない。水天宮に啄木歌碑がある。

「かなしきは 小樽の街よ・・ 云々」

高台から街を見下ろす。どこからともなく石炭の燃えるにおい。煉瓦造りの煙突、羽目板の壁の家。 ボンヤリ街を見ていたらもう日が暮れる。
フェリー乗り場は閉まっているので、寝場所を探して夜の街をさまよう。結局乗り場近くの空き地の片隅にテント。 疲れた。十時半就寝。

留萌、黄金岬

小樽、北一ガラス

水天宮より、小樽の街並

水天宮より、小樽の街並

煉瓦造りの煙突

6月13日

朝のフェリーで舞鶴へ。

6月15日

夕方五時、舞鶴着。こちらも雨。 マフラーが詰まってもはや用をなさない。かなりうるさい。顰蹙をかいながらR27、R162と走って無事 下宿着。



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